Designer/Artist
タカハシヒロユキミツメ

幼少の頃から独学で絵を描き始め、専門学校時代にMacと出会う。Adobe Illustratorのベジェ曲線を駆使したキャラクターアートを自分のスタイルとして確立。同時にクラブなどで行う即興ライブペインティングも話題となる。2007年、パリ国際テキスタイル見本市「Premiere Vision」への参加をきっかけに、国内・海外のイベント、アパレルブランドやミュージシャンとのコラボなど、活動の幅を拡げる。2017年には、「Adobe Remix プロジェクト」に日本から二人目のアーティストとして選出され、その個性をワールドワイドに発信。独特の世界観で描かれるキャラクターアートを中心に、多彩な活動を続ける注目のアーティスト。

黒髪のおかっぱ頭とモードなファッションが印象的なタカハシヒロユキミツメさんは、
国内外のアート・カルチャー、ファッション界など、各方面から注目を集めるアーティスト。
そんな彼の制作環境にも今やDroboは欠かせないツールだという。
世界を視野に創作を続ける、その独自のクリエイティブに迫る。

ベジェ曲線に出会って、
その気持ちよさに魅了された。

観る者の目に強烈な印象を与えるポップでヴィヴィッドな色使い、細部まで描き込まれたテキスタイルデザイン、ストーリーを感じさせるアニメ的なキャラクター、メカニカルなSF感、和のテイストと有機的で怪しい毒気。タカハシヒロユキミツメさんが描くグラフィックアートには、無数の要素がぎっしりと詰め込まれている。その反面、整然とした静かな佇まいも感じる、不思議な作品世界がそこには繰り広げられている。
「子供の頃から、図鑑を見て魚やニワトリの絵をずっと描いている、そんな子でした。特にアニメやマンガ好きというわけではなかったです。中高生くらいになるとメカやその構造に興味が沸いて、家にある機械類を分解して中身を観察するのが好きでしたね」

そんなミツメさんがデジタルアートを初めて制作したのはデザイン専門学校に入ってからのこと。最初はゲームのキャラクターデザイナーを目指していたという。
「CGや3Dの映像、モデリングやライティングなどいろいろ学びました。でも最終的にボクの性に合っていたのはIllustratorだったんですね。パスを使って美しい曲線を描くことが気持ちよくてハマってしまった。デジタルだけど0と1に分解されない。どこまで拡大しても曲線として存在しているベジェ曲線の魅力に、どんどんのめり込んで行きました」。

Illustratorによるデジタル作品制作と並行して、ミツメさんは即興のライブペインティング活動も開始する。2007年以降はフランス、アメリカ、韓国、シンガポール、ドイツと海外でのイベントにも活躍の場を拡げてきた。
 「ライブでは直感的に描くからハプニングが起こる。想像していた完成形のはるか斜め上って感じの作品になったりもするけど、子供が落書きする感覚で楽しんでいます。
 逆にデジタルの場合は理想のイラストを緻密に組み立てることができる。下絵をもとに毎日10時間以上、数日かけて、マウスでひたすら納得のいく曲線を求めて手を動かします。こんな細部の線の違い、誰が気づくかいっ!と思いつつ。正直、楽しくないです(笑)。でも、完成した時の満足感は圧倒的なものがあります。アナログもデジタルもどちらも自分ですし、それが面白い」。
※ベジェ曲線:コンピュータグラフィックにおいて、滑らかな曲線を描く手法のひとつ。ピクセルデータではないためドット状にならず、滑らかな線を表現できる。

かわいい女の子キャラを中心に描かれるミツメさんワールド。硬質で機械的なパーツから、臓器や奇妙な生物、
だるまといった工芸品まで、実に多種多彩なテクスチャーが溢れ出すようにカラフルに描き込まれている。
© Hiroyuki-Mitsume Takahashi

本当に新しいものは
カテゴライズを越えていく。

2017年、ミツメさんは自らが愛用するソフトウェア・Illustratorの開発販売会社であるAdobe社から「Adobe Remix プロジェクト」に抜擢された。日本人としては二人目。『A』のロゴをモチーフにした新たな作品はネット上で動画配信され、全世界にその存在をアピールするチャンスに恵まれた。
「Adobe社からのオファーはアメリカと日本の両方からあって、どちらの目にも止まったのは光栄なことです。アーティストとしては、ボクの個性を欲しいと言っていただけるのがなによりも嬉しいですね。誰かと入れ替えが可能なソフトウェアではなく、誰も真似できない唯一無二のハードウェアとして存在したい。それがアーティストの理想であり、本質だと思います」。

では、ミツメさんがこれから生み出していくアートとは、どんなモノなのだろう。
「本当に面白いものって、実はどっちつかずでスレスレの場所にあるものだと思うんです。前例がないから、○○○とはっきり呼べないし定義できない。今はまだ自分の立ち位置を限定したくないし、むしろ、これからみんなに認識されて呼び名がついてくるような、自分自身が新しいジャンルになっていきたい。Adobe Remix プロジェクトのおかげで大きな実績が積めたけれど、ボクにはまだ、コレ!っていう代表作はないと思っています。“タカハシヒロユキミツメって、あれを描いた人だよね”って世界中で言われるような、そんな作品を生み出したいです」。
 アナログとデジタル、アートとPOPカルチャー、ファッション、音楽、さまざまな要素を飲み込みながら、独自の作品世界を作り上げていく姿勢こそがミツメさんの武器だ。

#AbobeRemix

「Adobe Remix プロジェクト」で描いた作品。デジタルで描いた下絵を、4枚のアクリル板レイヤーにライブペイント。デジタルとアナログが融合する表現方法で『A』の文字を浮かび上がらせた。制作過程までを作品として楽しめる動画は必見!

Droboのおかげで
データ保存の不安が解消された。

これまで数え切れないほどのデジタルアートワークを生み出してきたミツメさん。膨大な作品データはどのように保管し、管理されているのだろう。
「以前は2TBの外付けHDDを使っていました。でもボクは心配性なので、いつクラッシュするかと思うと心配で。だから重要なデータはMac本体にも保存していて。そうなると今度は、どっちが最新データだったかな?となって、管理が行き届かなくなる(笑)」。

HDDがいっぱいになったのを機に、ストレージを「Drobo 5Dt」に切り替えたミツメさんは、開口一番こう語る。
「これはヤバイです。本当に驚くほどカンタン。ボクは機械音痴なのでRAIDの設定なんて全然わからないんだけど、つなぐだけで勝手に準備して、ハイどうぞ!って。よくできた旅館に泊まったような感じ(笑)。確実に保存できて、かつスピードが圧倒的に速いです。過去の作品に手を加えるときも、以前は外付けHDDの速度が遅いのでデータをMacのデスクトップへコピーして作業していたのですが、今はDrobo上に保存したデータを直接開いて作業しています。それでもまったくストレスを感じませんから」。

Droboは堅牢性に優れ、容量を増やしたい場合はメーカーを問わず自在にHDDを入れ替えられる。その点についても聞いてみた。
「時代とともに作品のデータ量はどんどん大きくなってきています。今の容量がいっぱいになれば、さらに大容量のHDDを入れるでしょうし、その頃にはきっとHDDの値段も下がっているだろうから費用面でも助かりますよね。今のところ、Drobo以上に安心で、信頼のおけるストレージはないです」。

ミツメさんのDroboには現在2TBのHDDが5本搭載されている。そのうち最大2本が故障してもデータを確実に保護できる「デュアルディスク冗長化モード」で運用しているという。その理由についても、アーティストならではの興味深い意見を聞かせてくれた。
「絵はその時の自分にしか描けないものです。データを失ったからと言って、過去の作品をもう一度描いても同じにはならない。そもそも、そんな無駄な作業は絶対にしたくないですし(笑)。デジタルアートにとってデータを守ることは本当に重要な課題です。
 無名な頃からの全作品データが保存されているボクのDroboは、もはや自分そのもの。歴史がすべて入っている。例えば世界中のいろんなアーティストのDroboをずらりと並べて作品を呼び出せるようにすれば、それこそアートそのものですよ」。
 ミツメさんのこの言葉は、劣化しないデジタルデータが文化的財産として蓄積されていく近未来と、保存ストレージの重要性を物語っている。時代とともに変わっていくアートのあり方を模索し、つねに新しい何かを追い求める彼の作品は、近い将来、わたしたちに新鮮な驚きを届けてくれるに違いない。

タカハシヒロユキミツメさんの創作を支えるDrobo

RAIDストレージシステム
Drobo 5Dt

「Drobo」なら、プロレベルのストレージ環境を驚くほど手軽に構築可能。異なる容量のHDD/SSDを自由に混載できるほか、キャッシュメモリー※による高速なデータアクセス、最大2台のHDD故障に耐えるデータ保護機能など、従来の外付けHDDにはない数々の先進性で、こだわりあるユーザーの新たなストレージニーズに応えます。
※Drobo 5Dtは内蔵。